生命力との競い合いは相当こたえたのです。

生命力との競い合いは相当こたえたのです。

今の貸家に住んで、もう16年目に入りました。こんなに長く住むとは思っていませんでしたが、妻の仕事での転勤もなくこんなに長く住むことになりました。庭も広く隣家も遠くのんびりできるのがいいところです。住み始めた年の5月、真っ白で五枚の花弁のついた大きめの花がたくさん咲きました。よく見ると生垣の奥から生えて来た、とげのある枝に咲いていました。あまりにきれいで、私はイーゼルと小さめのキャンバスを庭に出し、そのバラを描きました。白い花びらと黄色いオシベのコントラストはため息が出そうなくらいきれいでした。花が散った頃、どんどん枝が伸びていきました。生垣のあちこちからバラの枝はぐんぐん伸びていくのです。見栄えが悪いなと思って伸びた枝を切りましたが、新芽なのにそのバラのトゲはとても鋭く強いものでした。私の手は、とげが刺さってあちこち痛んだのです。この作業を終えてしばらくすると、切った枝がまた伸びていくのです。一年中この伸び続けるバラの枝に悩まされました。この美しく、とげの鋭いバラの花の名前は何というのだろうと思い調べました。ナニワノバラというバラでした。ノバラという文字を見た時、このバラの生命力を思ったのです。おそらく野生に近いバラなのでしょう。花は美しい、枝は獰猛と言って良いこのバラは、不思議なバラに思えます。本当に美しい花です。悩みましたが、根元から切りました。でも、またすぐに枝は伸びて、翌年真っ白で美しい花を咲かせたのです。この花を私だけでなく、虫たちも大好きなのです。野生種恐るべしです。