料理をめぐっての話。

料理をめぐっての話。

あの日のことが忘れられません。と言っても、たわいのない事と言えばたわいのない事なのです。その日は私が退職し、主夫となって初めての日でした。夕飯は私の担当です。しかし初心者ですので、宅配キットを注文しました。右にレシピ、左に食材、まるで説明書を読みながらプラモデルwp作るようなものでした。レシピを読んでいると「いちょう切り」にニンジンを切りとあるではありませんか。私にとってこの言葉は初めて聞く言葉でした。予想もできませんでした。今なら大丈夫です。この夕食を作っているときに私の独創性が発揮されました。いちょう切りはせずに、すり鉢でつぶしました。その方が何となく気持ちがよかったからです。長い時間かかって食事を作りました。味は楽勝です。全部キットの中にソースやドレッシングが入っているからです。私にとっては大変な仕事でしたが、だんだん慣れてきました。でも慣れても楽しくはなかったのです。初心者には負担が大きすぎました。些細なことに見えて料理って大変なんだなとやっとわかったのです。これまでの妻の努力に感謝せねばと思ったのです。今料理をしているのは息子です。てきぱきと買ってきた食材で料理を3品以上出してくれます。何とありがたいものでしょう。息子にも感謝したいと思います。